おかげさまで無事に
1ヶ月の滞在を終え2月下旬にフランスより戻りました。

いつもの様にまわって来ましたが、ワイン生産者全体が、より良い方向に向かっている事を実感しました。
同時に、金銭的な問題で、ワインつくりを辞めなければならない、若い生産者は存在します。
21世紀に生きる、我々の現実の生活とのバランスをうまく取りながら、家庭と仕事、商売のバランスもうまく考え、それらが何とかクリアできていれば、全体として大変いい流れになってきていると、昨年より増して感じました。
(あまりに自然を尊重する結果、経験不足によりワインがお酢になってしまったり、畑でのボルドー液の散布量が極端に少なく、生活に必要最低限のぶどうの収穫量を確保できず、借金の返済が滞ってしまったり、若さゆえ、現実としてパッションだけでは成り立たなくなってしまうことがあります。)

消費者や社会全体の、自然を守ることへの共感。AOCをつかさどるINAOの考え方。
ワイン専門誌も、かなり頻繁に、自然を尊重して造られたワインについて語り始めています。

もちろん以前から記事はありました。
しかしその内容は、やや敬遠された、距離感のある、懐疑的なものでありましたのが、
より細かくポジティフに、ワイン造りの背景、内容、(SO2、補糖、野生酵母などにも言及し)「体に優しく、しかも美味しいならいいんじゃない!」という大変分りやすい論調に変化してきています。

消費者の自然保護、食事などへの意識の高まり、そして勿論、自然を尊重した沢山の生産者の存在と努力。
同時に彼らのINAO(イナオ/AOC)への対話など、時間をかけて、かなり急速に市民権(存在の位置)を得てきている事を実感しました。素晴らしいことです。
同時に大手ネゴシアンもその流れをポジティフに捉え、大きく舵取りを変えていかなければ取り残されてしまうでしょう。

「以前は”BIO”と言うとあまり味わい的におすすめできるものは少なかったのですが、現在はそれが変わってきている...」などと。「BIOでかつ美味しいのなら... !」
懐疑的だった論調が少しずつ変わってきています。

 

10000ものフランスのワイン生産者が加盟するワイン生産者組合(Vignerons independant)の会長である、雄弁な、ガイヤックの生産者ミッシェル・イサリー氏が自然なワインを造る本人であることも、一般への認知を助けているかもしれません。

NO.528 2009年2月号のフランスのワイン雑誌“Revu de Vin de France (RVF)”では、BIOの特集を、様々な写真も交えて、大変分りやすい内容で10ページも組み、その最後に、「30〜40年後、BIOという言葉はなくなるでしょう。現代のモードの言葉です。きっと当たり前になるでしょうから。」とまでの論調で紹介しています。
 (http://www.larvf.com/
もちろんある一人の記者の記事ですが、ほんの数年前まではBIOについての記事はよりネガティフなものが多かったです。

パリジャンの、流行を追う一部の人たちのものから、より多くの人たちのものへと、かなり変化してきているのではと感じました。
試飲会の参加の人数の多さ、多様な年齢、そこでのマスコミの取材などからも感じました。
つい3年程前まではよりこじんまりと家族的な雰囲気でした。
とても大切な過渡期を過ぎ、大きく広がる時であるのではと思います。

日本でも賛否両論の過渡期を過ぎ、より大きく広がる時ではないかと感じています。

自分に出来ることを今一度考えながら、少しずつやらせていただければと思っております。

2009年4月














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